- 2022年8月26日
- 月経カップについて
第3の生理用品、月経カップをご存じですか?
私が初めて知ったのが7年ほど前なので、ご存じの方も多いかもしれません。ただ外来では普段ナプキン一択でタンポンも無理、膣座薬も難しいとおっしゃる方もいらっしゃるので、実際に使用されている方は少ないのかなという印象です。
具体的には医療用シリコンなどでできた柔らかいカップを膣内に留置して月経血を受け止めます。カップは4〜12時間連続挿入し、トイレの際にカップを外し、経血のみ便器内に捨て、カップは再度挿入して使用します。周期ごとに煮沸消毒は必要ですが、繰り返し使用出来るので、エコですし、サニタリーボックスにたまってしまう使用済みナプキンの量も劇的に減らせます。血液が空気に触れないので独特の臭いもしませんし、湿ったナプキンによる蒸れでの皮膚トラブルも減らせるのでお勧めです。通販で数千円で購入できます。
また、経血の量が液体の状態で目で確認できるので、量の把握がしやすくなります。
過多月経の定義は1回の月経で140ml以上です。月経量が多い方は子宮筋腫や腺筋症など疾患が隠れていることもあるのでご相談ください。
ただ、性的デビュー前の方は膣が狭いので適さないですし、長時間外出する方は出先のトイレでは着脱が難しいかもしれません。ここからは余談ですが、皆さんは産婦人科で診察を受けることはあっても、自身が膣内を触れる機会はそれほどないかもしれません。男性は見える部位に外性器があるので子どもの頃から触れ意識することも多いでしょうが、女性は目に見えないので思春期に初めて意識し、何となく秘められたイメージがあります。女性同士でも話す事がはばかられる感じがあり、女性産婦人科医として寂しいなと思ったりします。
月経カップを使用することで性的な意味でなく膣に触れる機会を持ち、自身の身体と向き合うことでセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(2020年6月 4日のメッセージ参照)、女性皆が自身の身体の決定権をもつという感覚の一助にもなるのではないかなと思っています。
城