- 2019年7月8日
- Assisted Hatching
培養士の林です。
例年より遅れましたがついに梅雨入りしましたね。
電車通勤の自分は雨が降ると何かと遅延しやすいので雨の日の朝はハラハラしています。
神戸線ってどうしてあんなに遅延するんでしょう。
今日はAssisted Hatching(AHA)と呼ばれる技術についてのお話です。
ご自身で生殖補助医療について調べた方はAHAというものを何度か目にしたことがあるかもしれません。
受精卵は胚盤胞まで育ったあと、一番外側の透明な殻(透明帯)を破って中身だけが着床します。
この外側の殻をあらかじめ穴をあけたり、薄くしてあげることで中身を出やすくしてあげる技術です。
多くの不妊治療施設で導入されているこの技術ですが
成績が上がったという文献もあれば下がったという文献もあるということで当院では導入は保留にしていました。
しかし、とてもきれいな胚を何回入れても着床しないという患者さんを目にするたびに
何かもう一つこちらでできることはないかということになり今回導入に至ることとなりました。
透明帯は顕微授精や凍結融解、高齢女性の卵において硬くなりやすいといわれています。
もちろんすべての受精卵がそうなるわけではありませんが
綺麗な胚を入れ、子宮内膜もしっかり厚く、ホルモンの状態も問題ない、
それでも何回やっても妊娠しないという方はこの殻から中身が出てくる現象が
ちゃんと起きていないのかもしれません。(ハッチング障害)
実際に施行した例は画像を参照してください。
上段が透明帯を薄くしたもの、下段が透明帯に穴をあけたものになります。
この処理はレーザーを用いて行うので、中の細胞がレーザーで傷つかないように
薄くするか穴をあけるか慎重に判断して行います。
両方法とも一番右の画像でレーザーで処理した部分から細胞が出てきているのがわかるかと思います。
当院では全症例への施行ということにはなりませんが
何回やってもうまくいかない方や高齢の方に提案させて頂こうかと考えています。
現在は上記の適応の患者さんで希望される方に施行させて頂いておりますが
価格や条件はまだ検討中のため、正式に導入されることになりましたら
またこちらでアナウンスさせて頂くかと思います。
気になる方は診察時に院長にご相談ください。