- 2018年11月8日
- 学会発表と出生前診断のこれから
10月に日本人類遺伝学会第63回大会が横浜で開催され、IDAクリニックにおける羊水検査の実績について院長がポスター発表されました。
当院では2017年までに1273件の羊水穿刺による染色体検査を実施しており、赤ちゃんに異常が現れる染色体異常は67例(5.2%)見つかっています。中でも、赤ちゃんの首の後ろの浮腫み(胎児頸部浮腫:Nuchal translucency→NT)が3.5㎜より大きい場合は、高齢妊娠のみの場合に比べ5倍ほど異常率が高い結果になっています。
正しい判断を患者さんにしてもらうという考えから、今までは、曖昧な検査結果で患者さんに不安だけをあおることの多い血清マーカー検査などは実施せず、確定検査である羊水検査のみを実施してきました。しかし、今回の学会で権威ある先生が、その人なりの選択も正しい判断であるという考え方に変わったと、述べられていました。正しい情報提供が前提ではありますが、検査の選択においても多様化を考慮しないといけない時代になってきたのだと思います。
お母さんの血液のみで赤ちゃんの染色体異常が分かる新型出生前診断(NIPT)が平成25年から臨床研究(治験)として限定された施設でのみ開始されましたが、その治験が終了し、これから検査を受けられる施設が増えると考えられます。しかし、羊水検査とは違って、NIPTは非確定検査であり、検査についての十分な理解が必要ですし、特に結果の解釈とその対応は重要です。羊水検査を長年にわたり実施してきた当院の役割も重要であると自負しており、患者さんに質の高い検査・情報を提供できるよう、NIPTについても体制を整えていきたいと思います。清水