- 2021年4月16日
- ARTの「凍結」「融解」について
培養士の濱田です。
4月中ごろになり桜も満開から新緑になってきました。気温も寒かった時期も減り、
最近だと厚着をすると暑いなと思えるほどです。
さて今回は、「凍結」「融解」についてお話しします。
これらの作業は、ARTを行うにあたり重要になる過程の1つです。
まず最初に「凍結」についてお話します。
「凍結」とはある程度成長した受精卵を凍らせて保存する方法のことをいい、
以下の時に選択されます。
・採卵後、体調や子宮内膜の様子からお腹に戻す(移植)ことができないとき
・移植する日の都合がつかないとき
・受精卵がたくさんできて1度の移植で使い切れないとき
では、どのように受精卵を凍結していくのかをお話していきます。
受精卵には水分が多く含まれており、その水分が凍ってしまうと卵を傷つけてしまいます。
そのため、水分と凍結保護液を入れ替えることで損傷から防ぐことができます(図1)。
そのようにして「凍結」した受精卵は図2にある器具を使用し保存されます。(図2)
次に「融解」についてお話します。
「融解」は「凍結」していた受精卵を採卵した時期とは別周期に溶かすことです。
「融解」では、胚盤胞の中にある凍結保護液を抜き水分を戻していきます。
この水分が戻る過程に時間がかかるため「融解」の移植はお昼頃になります。
また、胚盤胞は収縮拡張を繰り返しながらもとに戻る性質があるため移植の際に
収縮している場合があります。ですが、このあと時間が経つにつれて
拡張していくので収縮状態の移植でも問題ありません(図3、4)。
これまでお話してきたことは、ARTのほんの1部にすぎません。
もしも、ARTについてのご相談やご質問がありましたらご相談ください。
※院内での待ち時間を考慮し、事前にお電話でのご予約をお勧め致します。