IDAクリニック産婦人科

 
2018年6月28日
精液から見る不妊症

培養士の林です。

今日は不妊は不妊でも男性側の原因の1つとしても重要な『液化』についてお話します。

院内のパンフレットにもコラムとして載せてあるのでお時間のある方はぜひ見てみてください。

 

射出したばかりの精液はとてもネバネバしています。

これは性交を終えた後に女性がすぐに動いても体内にこびりつくことで

外に流れ出てしまうことを防ぐためと言われています。

しかしずっとネバネバというわけではなくしばらく時間が経つと

『液化』という現象が起こり、サラサラになることで

ネバネバに包まれていた精子が運動しやすくなります。

当院で人工授精をする際、メンズルームで採取して頂いた場合は

粘性が高くて処理が難しいためしばらく時間をおいて精液がサラサラになってから

処理しています。そのため持ってきて頂いている方より、処理に少し時間がかかります。

では、この『液化』という現象が不妊にどのように繋がってくるのでしょうか。

最初のネバネバ状態ではほとんどの精子がまだ十分に運動することができず、

子宮や卵管へと泳ぎだすことができません。

ということは液化が遅い、もしくは液化しない(液化不全と言います)と

精子が卵子と出会うことが難しくなってくるということです。

では逆に今度は液化が早いとどうなるか。

これは前述したように女性の体内に留まることができず、

体外へとすぐに精子が出て行ってしまうため、体内に残る精子の量が減ってしまう

可能性が考えられます。

このように顕微鏡や細かな検査がなくても状態を観察するだけで分かることもあります。

 

当院でも男性のみが来院されて、ちゃんと妊娠できるかどうか精液検査を希望されることが

あります。実際に薬を飲んだり注射したり、卵子を採るために手術をするのは女性ですが、

一緒に治療するという意識のパートナーが増えてきているということなのだと思います。

不妊治療は身体的にも精神的にも大変な治療ですので女性だけでなく

ぜひご夫婦で寄り添って一緒に頑張って頂けたらと思います。

 

 

TOPへ戻る