IDAクリニック産婦人科

 
2020年3月30日
培養士という仕事

『生殖補助医療胚培養士』の林です。

コロナショックによるペーパー類の買い占めがやっと落ち着いてきましたね。

ペーパー類はデマだったので落ち着くのもすぐでしたが

本当に必要なマスクはいまだに在庫が復活していないようですね。

そろそろ手作りを検討する時期ですかね…

 

今日はたまに患者さんに聞かれる『培養士という仕事』についてです。

培養士はどうやったらなれるかご存知でしょうか。

専門の勉強をして国家資格を得てなれる…とお思いの方も少なくないのでは?

実は培養士自体は医療機関にあるにも関わらず無資格でなれます。

これをお読みの方が「なりたい!」と思って培養部門のある施設に入職すると

もうあなたは職業的には培養士なのです。

こんなことを言ってしまうとそんないいかげんな人たちに

大事な卵を預けているのか…と心配させてしまうかもしれません。

そこはご安心ください!

ほとんどの培養士がキャリアのある先輩方から数年単位で厳しく指導を受け

テストをし、見事合格した人のみが患者さんの細胞を扱っています。

なにも知識を持たずに培養士になる人はごくごく少数で

実際は医学、農学、生物学出身の人がほとんどで学生時代から細胞を扱っていることが多いように感じます。

中には看護師から転向する人もいたりします。

 

現在培養士として取れる認定資格で多くの培養士が取得しているものに

生殖補助医療胚培養士というのがあります。

これは日本卵子学会が認定を行っており、毎年4月に認定試験があります。

(今年はコロナで延期になったそうです)

この資格は、学会への所属、参加、学歴、勤務年数などの条件があり、

書類審査に通った後に筆記試験、口頭試験を受けます。

私も就職2年目に受けて取得しましたがなかなか難しくて厳しい試験でした。

でも難しくて厳しいということはその資格を持っている人はそれだけの知識が

あるという指標にもなります。

当院には記載はありませんがほかの不妊治療施設のサイトで

スタッフページを見てみると、資格の名前が書いてあったり

肩書が「生殖補助医療胚培養士」と「培養士」で区別しているところもあったりして

意外とわかりやすかったりします。

認定資格なのでキャリアがあっても持っていない人もいたりします。

あくまでも参考に留めておいてくださいね。

 

「培養士は無から有を生み出す仕事だな」と昔父親に言われたことがあります。

赤ちゃんや喜びを生み出せるということです。

医師のように死なないようにつらくないように何かを取り除くのではなく

医療業界で「授けられる」というのはこの仕事の特権だと思います。

培養士という仕事も年々認知度を高めており、この職業を志す人も増えているのではないでしょうか。

私も一人でも多くの方に授けられるようにこの特殊な職業に誇りをもって日々努めていこうと思います。

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