IDAクリニック産婦人科

 
2018年10月18日
不妊治療で産み分けをする

培養士の林です。

だんだん寒くなってきましたね、私は季節の変わり目に体調を崩しやすいので

いつもこの時期はハラハラしています。皆さんも体にはお気を付けください。

 

少し世間話。

先月の北海道地震の日に私ともう一人の培養士はちょうど学会のため北海道の旭川でホテルに泊まっていました。

夜中の3時くらいに揺れてそこから道内は電気が使えなくなり、

大きな道路も信号が全く付いておらず、お店では食べ物がどんどんなくなり

私が体験した中でもなかなか大変な経験でした。

地震が起きて次の朝、院長がギリギリ乗れた飛行機で旭川空港に到着し、

そのままそこで帰りの便をとってくれたのでその日のうちに関西に帰ることができました。

Inked空港_LI

旭川空港で帰りの便の空席待ちをする行列。帰れた私達でも空港で5時間待っていました。

学会関係者もちらほら。もちろん学会自体も中止になりました。

今度当日発表予定だったデータが見れるようになるらしいのでそれで勉強しようと思っています。

 

では本題。今回は産み分けについてです。

まず、通常の精液処理からお話します。

当院では患者様から精液をお預かりしたあと、精液の液化が済んでいれば

①洗浄(精漿と精子の分離)

②パーコール処理(生存精子と死滅精子の分離)※精子の数が多い方のみ

③洗浄(パーコールを洗い流す)

という手順で精子を使用できる状態にしています。

生きている精子と死んでいる精子は比重が異なっているため、このパーコールという試薬を使って分けることができます。

人工授精ならこうすることで精漿に含まれるゴミや細菌を取り除き、かつ生きた精子の割合を増やした状態で子宮に入れることができます。

産み分けを希望された方の場合、大きく手技が異なるのは②です。

通常当院ではパーコールは80%一層のみで行います。生きているものと死んでいるもののみを分けられたら良いからです。

しかし産み分けとなるとこのような単純な層では分けることができません。

下の画像を見てみてください。

percoll産み分け

(参考文献:Kaneko S, Yamaguchi J, Kobayashi T, Iizuka R. Separation of human X- and Y-bearing sperm using percoll density gradient centrifugation.

Fertil Steril. 1983 Nov;40(5):661-5.)
これはパーコールで作られた6つの層に精漿の層が乗っている状態です。パーコールの濃度が濃いほど下の層になります。

左側は右側と同じものをわかりやすいように色分けしてあります。

この文献ではこのようにたくさんの層を作ってどの層にどんな精子がどれだけの割合でいるのか

というのを調べています。その結果、比重の重い女の子の精子は下層に行くほど割合が増え、

逆に比重が比較的軽い男の子の精子は上層の方が割合が多かったという結論になっていました。

当院での産み分けでもこのようにパーコールの層を複数作り、必要に応じた部分の精子を使用することで産み分けを試みます。

しかしここで注意して頂きたい重要なことが2点あります。

1つはあくまでも割合が増えるだけだということです。

必ずしも受精してほしい精子が受精してくれるとは限りません。あとは運任せなのです。

もう1つは使用できる精子が減るということです。

女の子と男の子両方の精子からどちらかを多めに選択して残りはよけてしまうので当然全体量が減ります。

なので元から精子の数が少ない方がこの方法を行うと、産み分け以前に妊娠する確率も減ってしまう可能性があります。

不妊治療はとても難しいものでそこにさらに産み分けを加えると大変厳しい治療になります。

それでも産み分けに挑戦したい!という方はお気軽にご相談ください。精子の状態を見ながら一緒に計画していきましょう。

※産み分けには追加料金やキャンセル料が発生致します。詳しくは当院を診察時、院長にご確認ください。

 

 

 

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